サッカー蟻地獄

ガチだったこともあるサンフレッチェ広島サポーター&割とガチな飯田里穂さんファン&割と長い距離を走る自転車の話、などをしています

ペトロビッチ体制の終焉は暗黒時代の始まり(2)

前回の続きです。
今回も引き続き、あくまで想定しうる最悪の事態*1を書いているだけで、これを望んでいるわけではありません。現実を見ずに盲目的に応援できる方は読む必要有りません。現実を見た上で、自分がどうありたいかを決める材料になったらという思いです。

前回のおさらい、今回のお話

前回は前半の2つについて書きました。
・何が危機なのか
 →財務的にヤベェ。債務超過寸前。
・危機を解消するには
 →色々方法あるけど、現実的には減資しかなくね?
ということでした。
今回は残り二点、
・その手(減資)を打つとクラブはどうなるのか(&クラブは減資するのか)
・サポはどうしたらいいのか
について書きたいと思います。

減資をするとどうなるか

影響はいくつかあります。

信用低下

減資というのは今までの出資金額を名目上減額することですから、出資した人からすると大損(を確定)させたことになります。そういうことをやる会社には何が待っているかというと、「そんなことをする会社、信用できるか!」ということです。もちろん、財政を立て直し、利益体質に持っていくための減資ですから、その姿勢への評価は一定程度あるとは思いますが、減資という手段はほとぼりがさめるまで二度切れない*2カードですし、企業としてのサンフレッチェ広島が収益力、成長力にあふれた企業ではない現状では、少ない出資者をぶった切るようなマネはあまりよろしくないとは思います。*3

(減資しなくても)利益圧力が厳しくなる

減資は、将来のことを言うなら「今度こそはうまくやりますから、過去のことは水に流してください><」という意味になります。ということは、今度こそは絶対にうまく行かせなければならないのです。利益的な意味で。従って、利益を出すような圧力がかなりかかることになります。

仮に、債務超過寸前のサンフレッチェ広島が減資しなかったとしましょう。それ自体は特に大きな話ではありませんが、減資しないということは約20億円にもなる累積損失を自力で稼いでいくという選択をしたことになります。個別に財務状態が公開された2005年〜2010年、黒字だったのは2007年と2009年、それぞれ5,900万円、2,000万円です。

こういう会社が、累積20億円を取り返していこうというのです。そりゃ、減資じゃなければしっかり利益を上げろと圧力がかかるのは当然です。じゃあ、どうやって利益を挙げていくのかの前に、そもそも今年の見通しはどうなのか、について考えてみたいと思います。

今年の見通しは?

正直、厳しいと思います。
先ほどの広島の収支推移を見ると、2006年と2010年、つまりワールドカップで過密日程になり平日開催が増えた年は、減収になっていることがよくわかります(2008年はJ2に降格したことにより観客減、減収)。実際に、2010年、水曜日と週末開催では7,000人以上も集客の差が出ました*4

従って、最近のサンフレッチェ広島は減収要因があれば赤字、無ければトントンという会社ということになります。
2011年のサポカンでの本谷社長の発言にもあるとおり、試合数の減少、水曜日開催の多さは減収に直結します。今季の水曜日開催への影響を考えると、まずは大震災があります。大震災の影響で、1試合が水曜日開催に、ナビスコカップの試合形式変更によりホームゲームが2試合減少しました。チャリティマッチは収支0かマイナスでしょうから*5減収でなくても増収要因にはならないでしょう。従って、今回の決算は赤字が予想され*6、限りなく債務超過に近いか債務超過状態で出てくると思われます。

これで減資かとおもいきや、減資をするかどうかにかかわらず、エグい情報を認識してしまいました。クラブライセンス制度の導入です。
クラブライセンス制度とは、おもいっきりざっくり書くと育成年代の整備、施設(スタジアム・練習場)整備、組織・人事体制整備、財務・法務の健全さを審査し発行されたクラブライセンスがないとJ1/J2リーグに参加できないという制度で、ライセンスが発行されないとJ1からJ2への降格、JリーグからJFLへの降格*7などが発生するという制度です*8

このまま債務超過か、来年も赤字だとJFL降格

幸い、現在のJリーグ規約ではJリーグ入会時に債務超過ではダメ、と規定されていますが会員であるうちに債務超過になってはダメ、とは書いてありません。しかし、導入検討されているクラブライセンス制度では、債務超過になるとJ2ないしJFLへの降格*9が見込まれています。広島で当てはまりそうなのは「債務超過」「3年連続赤字*10」です。債務超過もさることながら、2012年度に単年度黒字を実現しなければJ2ないしJFLへの自動降格に処される可能性があるのです。

一般管理費削減は難しい

それでは、どうやって黒字を出していくのか?売上の数億円単位の増加はエディオン神が降りない限り*11非常に難しいと言わざるをえないため、経費削減が主になってきます。しかし、ビッグアーチの看板設置をオフィススタッフが総出で行なっているなど、一般管理費はかなり限界まで削っていると聞いています。また、2010年度4.8億円の一般管理費の中には下部組織の運営費用も含まれます*12。広島の競争力の源泉でもあるユースに手を入れるかという大きな決断を迫られますが、希望としては手を入れて欲しくないし、クラブライセンスの取得条件に育成年代の整備が入っている以上、大きな経費削減はできません。ここから大きな販管費削減は難しいでしょう。

結論1:スタッフ人件費削減

去年の人件費は約13億円。これを10億円程度まで削減することになるでしょう。従って・・・大量に選手やスタッフが出ていくことは覚悟しなければなりません。年俸8000万円(推定)のペトロビッチ監督の続投断念はこの一つの施策でしょう。そこでこのtweetです。

おそらく、森本さんの耳に入ったのは、ミシャから戦略的継続性の見られない身内か実績のない、年俸の安い監督*13になったということでしょう。元柏監督、現広島ユースダイレクターの高橋真一郎さんや現新潟コーチの森保さん(監督経験なし)、もしかしたら現山形監督で来季の契約延長がなくなった小林伸二さんかもしれません。言いたくない名前*14も候補になるでしょう。完全に推測ですが。

結論2:選手人件費削減

さて、選手はというと、これまた数千万円〜数億円の削減をしようとすると、えらいことになりそうです。
公太(推定3,800万円)は引退+コーチ就任、というのはありうる話だと思いますし、カズ(推定3,400万円)、コージ(推定3,000万円)あたりは今年契約更改。ミシャが退任という区切りもついたことだし、直近3年の稼働率を考えたらなかなか他クラブが手を出しにくい選手でもあります。彼らのモチベーションを考えると引退してもおかしくないですね。
今期で契約が切れる選手*15の更新は、基本路線として「出たい選手は出す」になると思われますが、絶対に慰留に努めるのはセンターラインの西川、水本、青山、カズ、コージ、洋次郎、寿人と、両サイドの山岸、ミカ。この中から他クラブにこぼれていく選手も出てくることでしょう・・・。

サポはどうしたら?

どうもこうもあるか。

正直、今までのサッカーを期待しないほうが良い。
クラブは上位ではなく、J1でもなく、Jリーグに残る戦いをしていくことになります。

それでも我々にできるのは、ユースの選手を大切にし、選手やスタッフの出入りに動じず、試合に行くこと。それしかないよね。

*1:けど、結構な確率で実現しそうなこと

*2:理論上は何度でも切れますが・・・

*3:なので、結論としては減資はしないと思います

*4:2011年サポカン議事録: http://www.sanfrecce.co.jp/club/conf01.html

*5:詳しくは知りませんが。

*6:スポンサーの増加は見込まれていましたが影響がよくわからないのでここでは考慮していません。過去の傾向だけを見ると、という感じで見ていただければと思います

*7:Jリーグからの退会になるかは現時点で不明

*8:http://www.jfa.or.jp/jfa/rijikai/2010/20100520/pdf/k20100520_07.pdf

*9:J2への降格、という記事とJFLとしている記事が混在 http://efck.net/stadium/#nikkei_np_110531

*10:今年(2011年度)はおそらく赤字でしょうから、2012年度に赤字だとクラブライセンス制度導入時にライセンスが発行されない

*11:それも難しいと思いますが

*12:コーチは含まれないとは思いますが

*13:少なくとも、J1に残留する力がないと森本さんが思っている監督

*14:リムジンに乗って川崎・堀之内に通ったという、みーどりーとーあーおーのー監督。今季限り。

*15:寿人、ムジリ、ミカ、アンテ、公太、カズ、コージ、山岸、森脇、中島、一誠、横竹、盛田、中林、石川。