サッカー蟻地獄

ガチだったこともあるサンフレッチェ広島サポーター&割とガチな飯田里穂さんファン&割と長い距離を走る自転車の話、などをしています

2010年Jリーグ勝ち点と人件費の関係

8月18日にJリーグから各クラブの経営状況が開示され、これに関する記事がいくつか見られました。その中でも、東洋経済から出ていたものが優れていたので改めて紹介したいと思います。中の人、好きなんだろうなw

Jリーグチームの人件費と順位の関係は? 財務指標のランキングからクラブの経営力を読む(1)

ここでは改めて紹介しませんが、営業売上高や営業利益率、総資産額など比較してあって、さすが経済誌という感じでした。できれば総資産利益率とかでも比較したいけど、まあ個別でやったらいいと思うw
そこで、僕も改めて違う切り口で分析してみたいと思います。

人件費に含まれるもの

ここで、前述の記事にも書いてあるのだが、人件費についてきちんと説明しておきます。
チームの人件費には、

  • 選手人件費
    • 選手年俸
    • 選手勝利給・出場給
    • 支度金・トレーニング費
    • 移籍金償却費
  • スタッフ人件費
    • 事務方報酬
    • トップ・サテライトチームスタッフ報酬
    • 下部組織スタッフ報酬
    • スクールスタッフ報酬

など、意外に多くのものが含まれる。特に、下部組織やスクール運営に力を入れているところについては、選手以外の人件費がかなりの部分を占めるクラブもあるでしょう。
とはいえ、最終的には勝ち点に結び付けていくためにそれらの活動をするわけだから、バランスよく投資と回収(順位や勝ち点)に振り分けなければならないわけですね。

勝ち点と人件費の関連

東洋経済では、順位で効率のよい人件費の使い方を検証しているが、ここでは勝ち点に注目してみたい。同じお金を使っていかに勝ち点を稼ぐか、という順位です。
当然、順位のために戦っているのではあるが、勝ち点を稼いだ結果が順位であると考えると、考える価値はあるかと思います。
で、集計してみました。

赤い線が引いてありますが、この直線から上に遠いほど、人件費に対して効率よく勝ち点を獲得できているチームということになります。

勝ち点効率の順位(カッコ内はリーグ戦順位、プラスマイナスは勝ち点効率順位との差)
  1. C大阪(3)+2
  2. 名古屋(1)-1
  3. 新潟 (9)+5
  4. G大阪(2)-2
  5. 山形 (13)+8
  6. 清水 (6)0
  7. 広島 (7)0
  8. 横浜FM(8)0
  9. 鹿島 (4)-5
  10. 仙台 (14)+4
  11. 川崎F(5)-6
  12. 磐田 (11)+1
  13. 神戸 (15)+2
  14. FC東京(16)+2
  15. 大宮 (12)-3
  16. 浦和 (10)-6
  17. 湘南 (18)+1
  18. 京都 (17)-1

こう見ると、意外なほど順位どおりです。
正直、こういう結果になるとは思いませんでした。特に、名古屋やG大阪が効率の上位に来るとは思いませんでした。「名古屋は金権チームで、勝ち点を金で集めた」「G大阪は売ったお金で高い選手を集めてくる」というイメージがあったからですw
いくつかの躍進、低迷はありますが(後述)、概ね±2の範囲に入っていて、勝ち点という観点では各チーム、概ね妥当な投資がなされている感じを受けました。

躍進したチームの分析

躍進したチームは、投資よりも大きい成績を生み出したということになります。当たり前ですがw
それでも、二つに分けられるかと思います。

  1. 独自の高効率投資メソッドを持つチーム
  2. 平均どおりを狙ったら大成功

1.の独自の高効率投資メソッドを持つ例は、G大阪川崎Fです。
G大阪川崎Fは、平均程度の効率だと上位にちょっと届かないくらいの勝ち点しか得られない投資額ですが、どちらも優勝を狙っているチームです。まるで投資効率が高いことはわかっているといわんばかりの態度ですw

2.の平均どおりを狙った例は、優勝した名古屋と、非常に大成功した仙台、新潟、山形です。
名古屋は投資額的にも優勝することを狙ったわけですが、そのとおりどころか、それ以上のダントツの結果を出してしまいましたw
仙台、新潟、山形は投資額的には35〜40程度のラインを狙った投資額でした。残留ラインはほぼ試合数と同じ、優勝ラインはほぼ試合数の2倍、という目安があるため、これはとりもなおさず「残留」を目標としていたということでした。残留だけではなく、それ以上の効率をたたき出して中位まで食い込んだこれらのクラブは賞賛してよいと思います。ホント。

低迷したチームの分析

低迷したチームには三種類あるかと思います。

  1. 過剰投資
  2. 極端な成績不振
  3. 投資不足

1.の過剰投資は、大宮です。
ターゲットにしているのはおそらく(認めないと思いますが)勝ち点45程度であろうかと思いますが、それに比べて4億円近く多い投資を行っています。
今年のターゲットは9位以内、勝ち点50ですが、それでも2億円近く多い。金余りというイメージの割にドコモをはじめとするスポンサーへの経営依存が大きい大宮ですが、もうちょっと経営効率化をしたほうがいいのではないでしょうか(偉そう過ぎる)。

2.の極端な成績不振は浦和、FC東京、京都です。
浦和は最低でも勝ち点60、できれば優勝ラインの70オーバーを狙うに十分な投資を行っていますが、まさか50を切るとは思わなかったのでしょう。
FC東京も、ターゲットは中位確保(勝ち点約50)できれば優勝に絡む、位だったでしょう。投資額的にもうまくやれば勝ち点60弱くらいは見込めたという点で、まさかの降格といっていいでしょう。
京都も、投資額的には勝ち点45程度、残留には妥当なラインです。が、まあ最悪の効率でした。
このケースは、躍進したチームの逆のケースです。まあ、出てきます。こういうケースは。

3.の投資不足は湘南です。
平均的な効率で勝ち点を獲得しても、勝ち点が33〜35にしかならない投資額でした。
前述のとおり、残留ラインはほぼ試合数と同じという目安がある中、これでは最初から奇跡の残留を期待しているようにしか見えません。

まとめ

そんなものないですが、こうやって投資を見てみると、どこを目標にしていて、何が狙い通りだったのか、狙いから外れたのか浮き彫りになりますね。